環境にやさしい素材・木
私たちの生活の中には、木材で作られたものが沢山ありましたが、近年、生活様式の変化等により、木材の需要は年々減少しつつあります。一方、ホルムアルデヒト等の問題から新建材による住宅が問題視され、「木の家は心地いい、人にやさしい」と木材を見直す声も聞こえます。今回は、木材を正しく理解するため、木材の特性について紹介します。
1.木材は、循環資源である

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木材は、地球温暖化に関係があるといわれる二酸化炭素を葉から吸い、根から水分を吸い、光合成によって樹幹内にセルロースやリグニンという炭素化合物を作ることにより、体を太らせていきます。この地域(尾鷲・海山・紀伊長島)の人工林は、面積約 21,000ヘクタール、材積にして 4,000,000立方メートルになります。
この森林を適正に管理すれば、1年間に約105,000立方メートル(木造住宅に換算すると約1,500棟分)の生長量が見込めます。このような資源を使わない手はありません。また、「伐ったら植える」という基本が守られていれば再生可能な有効な資源と言えます。
2.木材と水分の関係
木には親水性があり、細胞内(自由水)と細胞壁(結合水)には水が詰まっています。木が伐採されて乾燥するにつれ、細胞内の自由水が徐々に無くなりまず。次に細胞壁の結合水が減り始めると、木材は「収縮」して寸法変化が発生します。この変化が、木の長所でもあり短所でもあります。

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3.木材の強度は?

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木は生きた建設資材です。木の特性を正しく理解して使えば、より快適な生活空間を作ることが可能なのです。重さ当たりの強度にどんな意味があるかというと、同じ建物を造るのに軽くでき、基礎工事等が軽減できます。
4.木材の特性について
a.針葉樹と広葉樹

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樹木を葉の形態で分類すると針葉樹と広葉樹に区分できます。針葉樹はスギ・ヒノキ・マツ類等、細くとがった葉をもった樹木です。針葉樹は、常緑樹と落葉樹に大別できますが、カラマツ・イチョウ等を除くと他は常緑樹です。広葉樹は扁平な葉をもった樹木です。常緑樹には、シイ、カシ、クス、ツバキ等があり、落葉樹にはケヤキ、ブナ、ナラ等があります。針葉樹は、主に建築用構造用部材・仕上げ材として利用され、広葉樹は造作材、家具材、仕上げ材等に利用されます。住宅に利用される樹木としては、スギ・ヒノキは柱材、マツが梁桁材、家具にはキリ、クス、ケヤキ等、床にはマツ、ナラ等が利用されます。
b.辺材と心材

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丸太を横切りしたとき観察できる大きな特徴は、周縁部分の白っぽい辺材(白太)と、中心部分の着色した心材(赤身)の区分です。辺材には、生きた細胞が含まれており、デンプンや脂肪など栄養分が貯蔵されていることが多いため、変色菌や腐朽菌あるいは害虫に侵されやすくなります。一方、心材には木の香りや色のもとになる成分が存在するため、腐朽菌や昆虫などの攻撃に対して辺材より抵抗性が大きくなります。
c.年輪

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針葉樹の木口面をみると、色が薄い(春から夏にかけて成長した)早材と、色の濃い(夏から秋にかけて成長した)晩材が交互になっています。同一年に形成された早材と晩材を合わせた部分が年輪と呼ばれています。早材では細胞の直径は大きく細胞壁は薄いのでやわらかいですが、晩材では逆に径は小さく細胞壁は厚いため硬くなります。したがって、木材を屋外に暴露すると太陽の光と雨水とによって早材部分が晩材部分よりも早く劣化して沈み込むため、洗い出した板のような凹凸状態(目やせと呼ぶ)を呈するようになります。一方、広葉樹材は、早材と晩材の区分が困難なものが多くなっています。
d.木材の3断面

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木材の断面には、樹幹の軸に直角に切断した横断面(木口面)、樹心を通る縦方向の放射断面(柾目面)、また放射断面に直角に縦断した年輪に平行な接線断面(板目面)があり、これを木材の3断面と呼びます。
e.元口と末口

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木材は成長の過程で根本が大きく、先端に行くに従ってしだいに細くなります。その幹の根本(大きい)部分を元口(もとくち)といい、梢(小さい)部分を末口と呼びます。